田舎の農家には、農協が必要だ!片道30kmを毎日往復・・納品に行けません。

「農協は不要だ!」「農協は解体するべき!」と言っていたコメンテーターがいましたので、反論します。
コメンテーターが口々に言っているのは、農協が農家を強制的に利用させ、農業関係の権益を独占しているとのこと。



○農協が農業を独占しているはウソ

まずもって、農協が農家に利用を強制しているというのが嘘です。
田舎の農家は、農協から物を買い、農協に農産物を出荷する事が強制されているとのコメントでしたが、そんな事はありません。

私の住む田舎町では、90%が農協の組合員です。
組合員とは、株式会社の株主のようなもので、農協へ出資をしています。
私も組合員です。
と言って、も父から譲り受けたもので、金額も1万円ですが(笑)

組合員である農家で、肥料はホームセンターで購入し、農産物は一切農協に出荷していない人も沢山居ます。
それでも貯金や、保険は農協を自主的に利用しています。
それは、近くにある利便性を自分で選択した結果です。
もちろん農協は、ちゃんとした対応をしてくれます。

コメンテーターが言っている、農協が農家を縛りつけている現状などありません。
農業をしていない都会の人は、騙されるのでしょうが、これは真っ赤な嘘です。

○農協を解体すると?

まず、食糧需給率が大幅に下がるでしょう。
というのも現在国内で、米や小麦を栽培している農家の大半は、兼業農家です。

わが町では、米を約200トン出荷しています。
農家数は、200件。
その内、米の専業農家は・・・0件!
全ての米農家が兼業です。

兼業で米が作れるのは、農協があるからです。
稲作は、田植えまでに、苗を作らなければなりません。
種を撒き、1ヶ月間苗を育てなければなりません。
その間は、毎日日中に2回以上水をやり、夕暮れには、保温シートを被せます。
朝シートを取り、また水やり。

サラリーマンには、とてもできる物ではありません。
苗を農協から買うからこそ稲作ができるのです。

苗を農協から買うことも強制ではありません。
一般企業が「苗いりませんか?」と営業に来ても良いのですが、こんな田舎町に苗を売りに来てくれる企業など有りません(涙)

肥料も農薬も電話一本で、いつもの場所に配達してくれ、籾の乾燥機が壊れたとなれば直るまで、20時でも22時でも修理をしてくれます。

もし農協がなくなると、農業を続けられる兼業農家は減る事でしょう。
もちろん、穀物の値段はあがります。

○農協が無くなったら?

アメリカには、穀物メジャーが5社あります。
穀物メジャーは、農協と同じように、小規模農家から穀物を買い取り一般市民へ販売しています。
農協は半公共なので、不作の年でも同じ額で買い上げ、流通させていますが、穀物メジャーは、利益を追従します。

不作でもないのに日照りだという報道が流れれば、出荷量を減らし、値段を上げる事もありえます。
これは、原油と同じですよね?

また、農協では農業部門の営農部は赤字です。
その赤字を貯金、保険の利益で補填してくれています。

一般企業では、部門毎での利益が不可欠なので、農家の負担が増えかねません。

○規制緩和が国民の利益になるとは限らない

米は、過去に農協にしか売れなかったものを規制緩和で、自由化されました。
その結果農家の収入も、消費者の購入価格もほとんど変わりませんでした。
むしろ消費者が買う米の価格は、ブランド化がすすみ値上がりしました。
以前も農協ごとに米のブランドがありましたが、その頃は今より安かった気がします。

米の自由化、郵便局民営化・・・
過去に「既得権益をぶっ壊せ!」と、やってきた事で、国民にメリットがなかった事も有ったのでは?

最寄りの大きな町まで、30km。
私は農協がなくなると、米作りも野菜出荷も続ける事はできません・・・



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