契約栽培の裏側。農家と消費者は損?バイヤーだけが大儲け?

○契約栽培(直接契約)

私は、野菜を出荷している。兼業農家です。
我が町でも、契約栽培をしている農家が数軒あります。



契約栽培(直接契約)と言えば、農家と小売店が契約を直接して、「農家の手取りは多く、消費者には安く」というイメージがあるでしょうか?
しかし、私の知っている実情は、そのイメージと、かけ離れています。

私の契約栽培に対するイメージは、農家と消費者に負担をかけて、バイヤー(仲卸)と小売店は安泰な仕組みだと感じています。

契約栽培をする場合、農家⇔小売店という契約なら問題ありません。
しかし、複数の農家⇔バイヤー(仲卸)⇔小売店(スーパー・デパート)は問題です。

バイヤーが、農家の時も有ります。
その場合は、バイヤーが自分の野菜を優先して販売し、足りない分を他の農家から集めます。

価格は、年間通じて同一価格とする契約がほとんどです。
出荷量も、ある程度決まっています。


○農家・消費者のみ損をする
前述の、出荷量の縛りは、非常に厳しいものです。

出荷量が契約量に満たない時は、罰金が発生したり、その分を後日、無料で出荷させられたりします。

罰金の理由は、「バイヤー⇔小売店」間でも量が決まっているために、「農家⇔バイヤー」間で、量が足りない時は、バイヤーが市場などで買い集める必要があります。
バイヤーは、農家の罰金を、買い集める資金とします。
このおかげで、バイヤーは、農家の出荷量が少なくても、金銭的被害は最小ですみます。

不作の時は、農家は、相場よりかなり安く、バイヤーに売り、ノルマに達しない時は、罰金まで払うこととなります。
そして、「農家⇔バイヤー⇔小売店」間の販売単価は、年間同一価格で契約しています。

ですが、小売店が消費者に販売する時に、年間同一価格で販売していますか?
「野菜が高い」とメディアで報道されると、どの小売店の商品も値上がりしていませんか?
この状態は、小売店は大儲け。
消費者には、メリットが無い状態です。

○生産者偽装

もう1点、消費者が騙されている可能性があります。
前述したように、ノルマ量に達しない場合は、バイヤーは他の商品を買い穴埋めします。
農家も罰金を払いたくないので、近所の農家から調達する時も有ります。

そんな時は、契約者以外が栽培した品物が、店頭販売される事となります。
小売店がその事実を認識していなければ、「この野菜は、○○さんが栽培」と、嘘が明記されて売られています。

○実際に我が町でも・・・

実際我が町で、酷い一件が、有りました。
かつて、無農薬・有機栽培で、バイヤーと直接契約している農家がいました。

しかし、ノルマ量に足りない時に、近所の農薬・化学肥料を使用した野菜をかき集めて、自分が栽培した無農薬・有機栽培として、販売していました。
価格の優位性を保つため、かなりの販売量で契約をしていたようで、不足する頻度は、かなりの回数です。
恐らく、出荷量の半分は、別農家の野菜でした。

10年弱の期間、そんな事を続けた後、抜き打ち検査で農薬が検出され、「有機JAS」の資格を剥奪されました。

○騙される農家

農家が、騙されることもあります。
それは、下記のような事例。

まず1・2年、かなり高い単価で契約してもらえます。
量は、農家のほぼ100%の量を、契約します。
お金につられた農家は、今までの販売先との、付き合いを全てやめて、新規バイヤーに全量を出荷する事となります。

3年目からバイヤーは、ジワジワ単価を下げ始めます。
他社との付き合いを全て断ち切ってしまった農家は、言われるがまま状態です。
さらに、バイヤーが販売する肥料(高価)を使うことが、契約条件だと数年後に言い出します。
農家は、それにも従わざるをえない状況に追い込まれます・・・

この事例は、実際知り合いが、現在進行形で行っている契約です。
ちなみにこの契約では、バイヤーから「小売店は、某大手百貨店」だと、言われています。

彼は、信じていますが、それすら怪しいです(笑)

○有効な契約栽培(直接契約)

ここまで、契約栽培の悪い部分のみ行ってきましたが、良い部分もありますので、最後に記載しておきます。

消費者への販売価格が、事前に決まっているものについては、安定供給ができるので、契約栽培に向いています。
メニューの値段が変らない、レストランや、数ヶ月前に、購入契約をする定期購入(頒布会)。

この様な形態では、消費者が価格の変動に悩まされないし、不作の時であろうと、量を確保できるメリットがあります。


スポンサーリンク





スポンサーリンク



0 件のコメント :

コメントを投稿