野菜は、パイプハウス内で栽培しています。
皆さんも一度は、ご覧になったことがあるのでは、ないでしょうか?
このハウスで栽培された野菜・果樹が、ハウス物やハウス産と呼ばれています。
対して、自然の状態で栽培した物を、露地(ろじ)物・露地産と呼びます。
○ハウスを建てる理由
では、なぜお金を掛けてまで、ハウスを建てて野菜を作るのでしょうか?
成長を促進させるため?
確かに冬は、成長を促進させる効果があります。
ただ、ほうれん草で言えば、春~秋では種をまいてから30日で収穫できるものが、冬はハウスでも2ヶ月以上かかりますので、劇的な効果ではありません。
むしろ春~秋は、後述の水問題により、露地より成長は遅くなります。
温度を上げる為?
温度を上げることは、冬には確かに有効です。
しかし、夏にはハウス内の気温は、50℃を超えますので、植物には苛酷(かこく)な環境です。
枯れてしまう根性のない野菜も、出てきます(笑)
雨がかからない為?
雨がかからない為は、ほぼ正解です。
植物は雨がかかると、病気にかかりやすくなります。
地面に落ちた雨が跳ね上がった水には、土壌の菌が含まれています。
野菜についた雨粒の中で、菌が繁殖し病気が発生します。
殺虫剤を散布していても、雨に打たれると流れてしまいますので、散布回数を増やす必要があります。
実は、ハウス栽培の最大の目的は、水の量を調節できる事なのです。
水の量が多いと、徒長(細く、縦に成長)します。
結果・・・細くて、味の薄い野菜になってしまいます。
トマトやみかんなどの甘さが必要なものでは、糖度が上昇しません。
水っぽい味になってしまいます。
それを防ぐために、ハウスを使用します。
ハウスの中には、水をやれる潅水(かんすい)装置が設置してあります。
スプリンクラーが、設置してあると考えてください。
野菜が小さく根が短いときには、地表が乾かないように多めに。
ある程度大きくなり、根が地中深く伸びたら、水はやりません。
この調整でじっくり成長させて、太くて味の濃い野菜ができます。
潅水の水粒は雨より小さいので、土が跳ね上がり、病気になる可能性も少なくなります。
成長後半にはほとんど水を与えないので、病気・殺虫の農薬を散布する回数も露地より減ります。
○水量の違い
この写真を見てください。
両方ハウス産です。
左側は水量調整が上手にできた、ほうれん草です。
種を蒔いてから、40日経過しています。
右側は、排水機能がイマイチなハウスの、ほうれん草です。
水は与えていないのですが、雨水がハウス内までしみ込んでしまい、ずっと水を吸っていました。
種を蒔いてから30日しか経過していないのに、収穫する大きさです。
どうですか?
大きさ(長さ)は同じなのに、茎の本数、太さが明らかに違います。
長い期間かけて育っていますので、味も太いほうが美味しいです。
水の量で、成長・味が変わります。
日照りなど、特殊な状況を除いては、味が濃くて、消毒の回数も比較的少ない。
それが、ハウス物です。
露地物が「美味しい」と言っている人は・・・
残念ながら知識不足です。
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