本日テレビ番組で、不耕起農法が紹介されていました。
番組で紹介された不耕起農法は、土地を耕さず、草も刈らない・・・
○草の間違い
セミプロの私が、反論させていただきます。
紹介では、「草は一切、刈らないです。」とのこと。
映像では、草の茂みの中に、立派な野菜が生えています。
この状態は、草を刈らないとまずありえません。
なぜなら、野菜より草の成長の方が、早いからです。
種を蒔いた時や、苗を植えた時に草が生えていたら、野菜は枯れます。
草丈の方が高くなると、日光が当らないのです。
野菜には、日光が必要不可欠です。
雨が多いだけでも、「日照不足」で病気の様になってしまいます。
番組の紹介を真似して、野菜を植えると、枯れる確立は80%位。
残りの20%は、ヒョロヒョロと成長して、とても食べられる物はできません。
実を収穫する野菜も、こんな状態では、通常の半分以下の大きさとなるでしょう。
不思議な事に、小さな野菜周辺の草は、枯れていました。
「枯れた草は、保水・草抑制になるのでそのままにしています。」とのナレーション。
草は刈らないと言いながら、明らかに刈っています。
確かに草は、冬には枯れます。
でも、春が来れば枯れた草が見えなくなるほど、新しい草が茂るのです。
番組では、ナスビなどの夏野菜を収穫しています。
冬に枯れた草が、他の草を抑えられる時期ではありませんし、その部分に草が生えていないなんて、ありえません。
○虫の間違い
もう1点。
虫は、野菜を食べるのと同じように草も食べるので、草が多い方が野菜の被害が少ないとの説明。
これも、間違っています。
確かに、虫は草も食べます。
草が多いということは、エサが多いということですので、虫の数は、爆発的に多くなります。
虫が増えた結果、野菜の被害も爆発的に増えます。
○本当の不耕起農法
私達栽培農家の中にも、不耕起農法を実践している方がいます。
本当の不耕起農法は、1年に1度は耕します。
それは、1年分の肥料・堆肥を散布した時です。
耕した後に種を撒くのですが、生えてきた草は抜きます。
1度目の収穫が終わると、以降は、耕さずにそのまま種を撒きます。
2回目以降も、生えてきた草は抜きます。
この繰り返しで、草を無くすのが狙いです。
地表の種から芽が出ては抜き、出ては抜きの繰り返しで、地表の種の数が減り、草が生えなくなります。
地表の種が無くなったのに、耕してしまうと、土中深くの種が地表に出てきて、また草が生えます。
それを防ぐ事を目的として、耕しません。
他の方法は、耕した後に、野菜は撒かずにまず草だけを発芽させます。
生え揃った草を除草剤で一掃し、草が枯れた後に種を撒く。
やはり、草を無くすための不耕起農法です。
○唯一の半分正解(笑)
「草が生えていると、地表が乾かないので、水をやらなくてもいい。」と言っていたのは、半分本当です。
確かに、太陽の光が当らないと、土は乾きにくくなります。
さらに草があると、朝露が地面に落ちますので、土は余計に湿ります。
しかし、草が無くとも、大きくなった野菜には、水を与える必要は有りません。
長く伸ばした根で、土中の水分を吸収できます。
長らく雨が降っていない、草が無い場所・・・運動場・砂場・公園。
そんな乾いた場所を、掘った経験があるでしょうか?
経験がある人はお分かりでしょうが、地表からほんの数センチ下の土は、湿っているものです。
この番組を信じて、同じ事をすると、痛い目に会いますよ(笑)
人は大昔から、草と戦ってきました。
良い野菜を作る為には、草は無いほうがいいのです。
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